春のソウル〜ロバート的「マディソン郡の橋」〜3
あ、しゃしん、違いますけどね
時は過ぎ、別れ別れになった2人はそれぞれの道を歩く。
旅をして写真を撮り続けるうんロバート。
家族の成長を見守るおくフラン。
おくフランの人生の後ろで、無心に写真を撮るうんロバートは、
泣きながら笑っていて、それがもう切なくて切なくて、
嗚咽をこらえるのがやっとでした。
この辺は、もうあちこちですすり泣きが聞こえてくるけど、
あの笑顔を観たら、泣くしかない泣くしかないのよ。
彼女の人生を見守るように、自分が自分らしくあり続けるために、
写真を撮り続ける彼の心が、痛いほどわかるから。
結局1人、ファインダーの外から世界を見つめる人生は変わらなかったけれど、
自分がこの世界にいる存在意義があったことを知る前と、知った後では、
彼の人生は全く違うんだよね。
たった4日間という一瞬。
だけどその事実は、彼がこの世界に存在したと言うたった1つの証。
幻でも異邦人でもなく、
彼はこの世界の人間として、この世界を愛しながら生きていけたと思う。
対してフランチェスカの表情は、家族への責任を全うしている感じはあるけど、
幸せには見えないんだよね。
結局、選択した後もずっとあの日の選択に迷いを残していたってことなのかな?
←でも、実は後ろのロバートだけを見ていたので、ちゃんとはわかりません。(苦笑)
でもね、原作では、ロバートがロバートであるために、
舞台は(映画もだけど)
だけなんだよな。そこが不満。
だから、おくフランの愛は、
彼女の憧れを満たすだけの愛にしか見えなくなってしまうのよ。
「だって、やっぱり不倫じゃん」
という感想を、何度聞いたことか(涙)違うのにぃ〜〜〜〜〜〜!
最後にフランチェスカへ電話したロバート。
バドがの葬式の後すぐに電話が来るのが,アレなんだけど(苦笑)
自らの死を察知して、この世界と決別する前に彼女の声が聞きたかったのね。
彼からの電話だと気がついたおくフランの表情がちょっと残念だったのだけど。
「・・・彼女からの電話を待つのを手伝ってくれてありがとう。
万が一彼女が僕を必要とした時は、と思っていたんだよ。」
その後、ナショナル・ジオグラフィック社に電話をかけたうんロバートの言葉は、
彼女への想いを彼女以外に漏らした、唯一の言葉だったのかと思ったら、
また泣けた。
自分の撮った写真を見て思い出しながら、
燃やしていくうんロバート。
数々の思い出は、灰となって土に還り、彼の心の中からも消え去っていく。
「It AllFades Away」は、悟りとともに、自分の人生を振り返り、
彼女への愛を叫ぶうんロバートの声が怖いほど澄んでいて、
全ては儚く、虚しさを纏い、遣る瀬無い気持ちになりながらも、
最後に残っていた彼女への愛に自分の人生に幸せを感じながら、
静かに去っていた彼の心に,
私はやっぱり泣くしかないのよ。
残された手紙と荷物を手に取り、うんロバートの最後の言葉を胸に刻むおくフラン。
「AlwaysBetter」は、すごく好き。
「私はあなたに出会ったことを感謝しています。
私たちは宇宙を飛び交う二粒の塵みたいに、
何も知らずにすれ違っていたかもしれないのですから。」
これは原作のロバートの言葉だけれど、彼の想いも含め、
この物語のすべてのことが、この歌に集約されているような気がします。
最後にローズマンブリッジでに登場して、
「One Secondand a Million Miles」の一節を歌ううんロバート。
ローズマンブリッジに2人の灰が撒かれた事実はこの舞台にはないけれど、
魂となった2人は、きっとこの場所で1つになれたのよね。
金色に輝くトウモロコシ畑と橋の舞台がとても綺麗で胸を打ち、
カーテンコールでの2人の涙は美しくて、また泣けたのでありました。
最後にうんロバートが見せたおくフランのスケッチブック。
まあ、ベタと言えば、ベタなんですが。
やっぱり嬉しいのです。
って、結局ずっと泣きっ放しの私でしたが、
劇場から出たとき、なんだかとても気持ちが温かくなっていました。