This is it

舞台大好き。映画も大好き。私の見たもの日記のようなものです。

4度目の髑髏城はガラリと変わって

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夜の関東荒野は、
宵闇の中にポツリと言うにはギラギラすぎる(笑)
光を纏っておりました。

最初で最後の夜髑髏。
素敵な夜をありがとう。

行く途中で久しぶりに食べたラーメンが胃にもたれていたけれど
そんなのは吹っ飛ぶほど楽しみました。

兎にも角にも、てんまおーの解釈が毎回違い過ぎて、
頭の回転ヒートアップ。

今日の天魔王、すごく人間臭くて、
前回の「魔」的な天魔王はどこへ行ったの(苦笑)

その時の記事↓
3度目にして「髑髏城の7人花」


舞台は観る方もやる方もコンディションによって
見え方も変わってしまう繊細な生物。
成河くんが本当にそんな解釈で演じているのかは定かでないけれど

今日の天魔王は感情だだ漏れで、
彼も戦国という時代の被害者なのかもと思ってしまった。

姑息で卑怯で腹黒く嫌なヤツだけど、
3人のうち誰よりも人間らしい人の男。

到底天にはなれないけれど
本能寺の業火の中で、彼の中の何かが壊れてしまったのかな。

蘭兵衛と本能寺の話をする時、
そこであったことが、鮮明に思い浮かんでしまった。

蘭兵衛には「生きろ。」と逃した親方様の言葉。
誰よりも命に執着していた天魔王にとって、それがどんなに羨望だったか。
それに対して親方様の彼への言葉は
「俺の介錯をして首を守れ。」

炎の中で親方様の首を刎ね、
その無念を一身に受け止めなければならなかったこと
最後まで親方様が寵愛した蘭兵衛への嫉妬
間に合わなかった捨之介への恨み


自分ひとり残されたことを恨んだ蘭兵衛のトラウマが「悲」なら
天魔王のトラウマは「恨」なのね。
(そんでもって、捨之介は「悔」ね、きっと)

そんなトラウマに囚われた男でした。
親方様の下で働いていた頃の輝かしい時代に固執し、
秀吉に天下が取れるなら自分でも取れると思ったか、
下剋上の戦国に生きる野心に満ちた男でありました。

蘭兵衛と刀を交えた時、2人で夢界の里を襲撃してる時
「楽しいだろう?蘭兵衛」と溢した時の顔が本当に楽しそうで、
「殿ではない。これからは俺たちだ。」
と言って刀を振った時の爽快感。

蘭兵衛を自分の駒だと思ってたとしても、
少なくともあの時、
天魔王はこれから作る蘭兵衛との未来に心躍らせていた。

そして蘭兵衛を裏切った時の表情に
いやらしさや禍々しさはなくてただ非情だった。
野望のためには手段を選ばない親方様のように。

だから蘭兵衛が盾になって自分を守った時、
彼は驚愕して蘭兵衛の背中に手を伸ばそうとする。

「なぜ?」
「勘違いするな。ここでお前を裏切ったら貴様や光秀と同じになる。
それだけはごめんだ。」

自分を拒絶する蘭兵衛の言葉。

伸ばしかけた手はそのまま宙に浮いたまま、
涙ぐむように(いや泣いてた?)悲しみの表情を浮かべ、
その後、狂ったように高笑いをする。

なに?これ。

その表情は想定外だよ。
今まで決して出さなかった天魔王の素の表情。

天魔王は本心はヴェールにかかったままで、
どれも嘘に見える虚像のような男じゃなかったのか?

蘭兵衛への想いだだ漏れ。
そして、もう戻れないことを痛感する諦めの笑い。

ほんの一瞬だけのその表情が突き刺さっていつまでも離れない。
本当に卑怯な男だ。天魔王。
蘭兵衛の最後の見せ場を、私はまたうわの空で観てしまったよ。

捨之介への執拗な企ては、
行き場のない彼のトラウマの捌け口だったのかもしれない。
悲劇を全て捨之介のせいにして
任務を全うできなかったくせに、全てを捨てたとうそぶいて
贖罪から目を背けている(ようにみえた)彼が許せなかったのか?

結局、「天」と言う彼らのトラウマは、
「悲」によって身を滅ぼし、
「恨」の業火に呑み込まれ、
「悔」は、「希望」に抱かれることで解放される。

はぁ。

やっぱり今回も「髑髏城の天魔王」もしくは「髑髏城と3人」でした(苦笑)
小栗捨と成天魔と山本蘭は本当にバランスがいい。

次が私のラスト髑髏になる予定ですが、
どんな風に感じるだろうか?

楽しみで仕方がないです。