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舞台大好き。映画も大好き。私の見たもの日記のようなものです。

ringhun的「子午線の祀り」予習~5

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さて、本筋の方に入ります。
ここからはこちらの戯曲を紐解いて行くので、
ネタバレ嫌な方はここでやめておいてくださいね。

萬斎さても新しく、現代に合わせた演出をすると言っていたので、
ここからどれだけ変わるのかも楽しみですが、
本筋と、取り巻く環境を理解して、より深く物語に入っていきたい私であります。


まず、「子午線の祀り」の舞台となっているこの時代の年表を挙げると、


◆1183年7月 宗盛の決断により平家都落ち
◆1184年2月 平家軍、義経の奇襲により一の谷合戦に破れ屋島へ着く
 (平知盛は、ここで息子の武蔵の守知章を失う)
◆1185年2月 義経、またもや急襲して、屋島の御所を焼き払う
◆1185年3月 壇ノ浦の合戦で、平家全滅。安徳天皇入水

 
戯曲によると4幕構成のようですが、さて今度の舞台はどうなるのかな?

まず、1幕。
1184年2月の一の谷の合戦で敗戦したところから始まります。

濡れ鼠のように惨めな姿で、
平家党首で実兄の宗大臣殿宗盛(おおいとのむねもり)の船に逃れてきた知盛。
最愛の息子、知章を失った悲しみに耐えながら、
平家軍を立て直し、次の一手を考えようとしているのに、
宗盛を始め殿ばら(将軍たち)ったら、敗戦に落ち込み嘆くばかりで。

まぁ、6000いた兵が一晩で3000に減ったんでは凹むのも無理ないけど、
とにかく軍議をしようとしても話にならない。
そして意見を仰ごうにも、兄、宗盛が党首のくせにヘタレで頭が痛い。

向かう前方には源氏軍。振り返れば戦意のない味方軍。

とりあえず、切り札の三種の神器安徳天皇はこちらの手の内にあるものの、
軍力で平家が源氏軍に叶わないことは明白で、力で奪われるのも時間の問題。

知盛、悩むよねぇ、これは。
だって平家の命運は自分1人の肩にずっしりのしかかってるんだから。

でも、彼を悩ますのは戦局ばかりでないのですね。

この戦を引き起こした張本人、後白河院の存在。

平家の手の内に三種の神器天皇があっても、
後白河院の一声で、平家は逆族として追われる身になり、
一の谷の合戦でも、後白河院
「源氏との和平を取り持ってやるからちょい待て。」(超訳)
って言うからそのつもりでいれば、義経の奇襲を受けてこの有様。

平家にとって許しがたい存在で、
平家と源氏をいいように振り回していることもわかってるのに、
傷つけることも許されない。目の上のたんこぶ。

でも、後白河院は源氏も平家もどうでも良くて、(もっと言えば安徳天皇も)
彼の目標は、三種の神器を取り返すことだけだってこともわかっている。

知盛としては、神器返還を切り札に
良い立場で後白河院に源氏との和平を取り持ってもらい、
どうにか今の辛い体制を切り抜けたいと思っている。

なのに、先の一の谷の合戦で、弟、本三位重衡が源氏の捕虜に!
重衡は4年前に、父清盛の命で南都の東大寺興福寺などを焼き討ちし
仏敵と恨みを買っているから、捕虜となれば打ち首は免れない。

本三位とは言え一大臣の命と日本を左右する神器が釣り合うわけもないが、
後白河院がムチャ振りして来ないとも限らない。←いや、するんだけどねww
知盛としては、向こうが何か言ってくる前に、
一刻も早くこちらから仕掛けたい。

ところが。
彼の思惑をよしと思わぬ人物が。
阿波民部重能(あわのみんぶしげよし)←民部で覚えてね。

彼は父、清盛の時代からの忠臣で、都落ちして来た平家一門を全て受け入れ一切の世話をしてくれる恩人とも言うべき人物なんですね。
清盛の死後、知盛のカリスマを感じ、常に側に仕えている側近でもあるのですが、
知盛と決定的なところで、意見が違う。

三種の神器は誰人も新たに作り出すことのできない確さて、1幕は1184年2月の一の谷の合戦で敗戦したところから始まります。かなもの」
三種の神器がある限り、日本国はわがものでしょう。」

三種の神器を持っているからこそ、民部は全てを平家に掛けたのであって、
それを返還するなどあり得ないんです。

源氏との攻防のなか、後白河院との駆け引きに頭を悩ます知盛。
だけど、本当の敵は・・・・。

民部、平家の明暗をわけるキーマン。