ringhun的「子午線の祀り」予習~8
2幕
さてさて、1幕からガラリと変わった2幕。
平家物語は11巻。
1幕から1年後の源氏側の話から始まります。
いよいよ義経登場です。
九郎大夫の判官義経。←御曹司とも呼ばれます。
その年の正月、平家追討の大将軍を頼朝から任命され、
彼の御代官として後白河院に拝謁し、
「平家は都を追われ波に漂う落人に成り下がったっていうのに、
この三年もの間、奴らを攻め落とせず悔しい。
義経、この度の戦は、雲の果て、海の果てまででも追いかけて
奴らを滅ぼすま都には帰りませんからっっ!」(超訳)
なんて調子よく担架を切れば、後白河院から
「なんと頼もしい。それなら昼に夜にと励み、
必ずや三種の神器を取り返して来てくれ。」(意訳)
陸は駒の足の及ばんを限り、
海は櫓櫂の届かんほどまで攻め行くべし。
少しでも二心あらん人々は疾う疾うこれより帰らるべし。」(原語)
(俺、鎌倉殿の代わりに院宣を貰っちゃったから、
これから平家を追討するぜっ。
地の果て海の果てまででも攻めに行くからさっ、
文句ある奴は今のうちにとっとと帰れっ!)(超訳)
あはは。
笑っちゃうほど張り切っております。
成河くんは、「義経はあまり心中を語らない余白のある役」って言ってたけど、
台詞に感情だだ漏れで、語らずともわかる仕掛けになっていると思う。
そして一番動きのある役で、行動で自分を語る義経と、
切々と心情を語って自分を表す知盛。静の知盛と動の義経。
その対比が全てを物語っていて、面白い。
「イヤな奴はとっとと帰れっ」って、この作品の義経くんの口癖。
イケイケで、オレ様な性格出てるよね。
義経は頼朝ラブだから、「鎌倉殿の御代官として~!」って誇らしく叫ぶ辺りは、
「兄者~兄者~」って、蘭兵衛を慕う天魔王の姿を思い出しちゃうかも。
尤も、義経は天魔王のような下心は全くないけどね。
疑うことを知らないまっすぐな忠誠。
ふふふ、でもあんまりイメージと固めちゃダメね。
でも源氏棟梁の地位に固執する頼朝には「目障りな奴」で、
さらに嫌われる原因ともなってしまうわけです。
←それを助長させる奴がいるんですけど。
側近で思慮深い弁慶は彼を諌めるのですが、
「鎌倉殿の弟と言っても、一介の御家人にすぎぬ。」と言いつつも、
「しかし、おれは鎌倉殿の弟だ。」と、どこかで頼朝への甘えもあって、
義経はなかなかそのことを分別できない。
なまじ優れた武将なだけに、
自分が光ってしまうことが仇になってしまう。
血が濃ければ濃いほど、それは危険を帯びる。
兄の力になりたくてしたことが、全て頼朝の警戒を固めてしまうと言われ、
「おれは一体どうしたらいいのだっ!」←成河くんが一番好きなセリフ
って、頭を抱えるわけですが、
それは義経が唯一自分の心情を吐露するセリフなので、注目です。