ringhun的「子午線の祀り」予習~11
さてさて、プレビュー見てから随分時間が立ってしまいましたが、
ようやく続きを書く気になりました(笑)
今年版、いいですね。
1999年版を見た時に感じた「こう変更してほしいな」と思ったことが、
ほぼ全部希望以上に変わっておりまして、満足満足。
舞台背景も最小限のシンプル。
でも、雛壇を縦横無尽に動かして、舞台に立体感を生み出し、
群読のリズムと迫力、日本語の美しさを前面に出す手法はそのままに、
躍動感をプラスした演出はとてもすばらしい。
演出家野村萬斎にやられたっっっ!
舞台の床は海原で、その中央に潮の渦、
そこから放たれる一筋の光の先に、子午線=天を感じるのです。
その世界観がたまらなく好き。
戯曲では、エピソード部分まで描かれていた平家物語は、
その本線以外は潔いほどバッサリ切られて、←ちょい残念
シンプルでわかりやすい作り。
加えて、呼び名もわかりやすいものにされてとても親切設計。
それでも、なかなか予備知識なしでは難しいんですけど(笑)
そんな中、九郎判官義経、御曹司、九郎御曹司、おん大将、九郎、九郎大夫・・・
と、義経だけは、相変わらずいろんな呼び名で呼ばれていて、
この呼び名にこそ、直接的には表現の場のない、
彼の複雑な環境や心が込められているのかなぁと思います。
余裕があれば是非、聴き比べて見てください。
さてさて、壇ノ浦の戦いですね。
1999年版とは違い、戦の様子が演出家で加えられ、
役者さんたちも熱演してくれるので、
置いていかれはしないとは思うんですけどね、とりあえず。
3幕、l壇ノ浦に向かう直前、義経は船泊して
あるものを待ち続けています。
源氏は船戦は初心者ですから、それを導いてくれるものが必要。
それが船所五郎正利なんですね。
武蔵坊の説得でお味方に着くと言いながら、なかなかやってこない。
やっと来たかと思えば、兄範頼の参謀、三浦の介(三浦義澄)の登場。
範頼は義経よりも先に平家討伐を命じられていたのですが、
長いこと待機させられていたところに義経が来ると聞き、合流したわけです。
いやはや、退屈だからこちらの軍に入れてくれって(笑)
ライバル(笑)参上を、素早くチェックの梶原景時。
そして、すかさず自己主張。
「こたびの合戦、先陣はこの景時におまかせください」
引かぬ景時(笑)
屋島の合戦のときのことを根に持っております。
なんとしても、ここで義経を出しぬきたいっていうのが見え見え。
「ぬぁなぁにぃ~!この九郎というものがあるものを忘れたか?」
もちろん、引くわけない義経(爆)
「先陣はもちろん俺だ!文句があるならとっとと帰れ!」(意訳)
認めていなくても、一応上司ですからね、
そう言われたら何も言えない景時にではありますが、
最終決戦。最後のチャンスなのに・・・。
「けっ。ケツの穴の小さいヤツだ。」(超訳)
景時、つい、本音が口からこぼれてしまいます。
それが、義経のストレス爆弾に火をつけちゃいます。
「なにぃ!この日本一の大バカ野郎がっっっ!」
「なんだとっ!俺を大バカ野郎と呼ぶとは、何様のつもりだっ!
俺が仕えるのは鎌倉様だけだっ!」(超訳)
売り言葉に買い言葉。
太刀に手をかけ、
それをまた部下たちが売り買いして、
義経軍が真っ二つに分かれて同士討ち寸前。
三浦の介がその場にいたのは運が良かった。
彼が割って入らなければ、もしかしたら壇ノ浦の戦いもなかったかも(苦笑)
坂東武者、どいつもこいつも血気盛ん(爆)
でも、これを根に持った景時のチクリで、
義経も非情の相を見届けなくてはならなくなるのですね。
それがわかっているだけに、彼の輝きもやんちゃも切ないのでございます。
この騒ぎの途中で、ようやく船所五郎正利が到着し、
まだ頭の血が下がりきらない景時を置き去りに、
五郎の元に飛んでいってしまう義経。
どんだけ景時、相手にされてない(爆)
そりゃ頭にくるよなぁ。
さて、船所五郎正利。
遅参したのは、櫛崎船なるものを用意してたからという。
櫛崎船とは?
この辺りの海賊が操る船足の早い小船で、
潮の早い壇ノ浦を制するには、この船が必要不可欠と。
この時の船戦は、遠くから弓を放ち、
後は接近戦で相手の船に乗り移って、斬り合いをするわけですから、
武士たちは、弓を避け、より早く敵の船に乗り移れるフットワークが欲しい。
だから、この時の義経の嬉しそうな顔ったら(^-^)
それは是非劇場でご覧ください。