This is it

舞台大好き。映画も大好き。私の見たもの日記のようなものです。

舞台「ねじまき鳥クロニクル」頭の整理

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こんにちは。

ただ今、怒涛のねじまき鳥月間。

原作読んで予習して望んでは見たけれど、苦手な村上春樹作品。

1回目に見たとき、原作の解釈と順番を入れ替えて再構築してあったので、戸惑ってしまったこともあり、頭の中を舞台用に整理。

結果、2回目以降はすっきり舞台の世界に入っていけました。

そんなわけで、とりあえず、メモだけ残しておこうと思って。

今日のアフタートークで、「この作品は観客にストーリーを伝えることが最重要視されていない」という話があったようで、まさに「考えるな!感じろ!」ってことなんだろうけど、それでも舞台の芯を探すために最低限の情報はまとめておこうと思います。

ネタバレ嫌な方は、もろネタバレになるのでスルーしてくださいね。

(でもノー予習で臨むにはちょっと難解ww)

 

とりあえず舞台のHPではこんな感じのあらすじが書かれています。

 

岡田トオルは妻のクミコとともに平穏な日々を過ごしていたが、猫の失踪や謎の女からの電話をきっかけに、奇妙な出来事に巻き込まれ、思いもよらない戦いの当事者となっていく――

トオルは、姿を消した猫を探しにいった近所の空き地で、女子高生の笠原メイと出会う。トオルねじまき鳥さんと呼ぶ少女と主人公の間には不思議な絆が生まれていく。

そんな最中、トオルの妻のクミコが忽然と姿を消してしまう。クミコの兄・綿谷ノボルから連絡があり、クミコと離婚するよう一方的に告げられる。クミコに戻る意思はないと。だが自らを水の霊媒と称する加納マルタ、その妹クレタとの出会いによって、クミコ失踪の影にはノボルが関わっているという疑念は確信に変わる。そしてトオルは、もっと大きな何かに巻き込まれていることにも気づきはじめる。

何かに導かれるようにトオルは隣家の枯れた井戸にもぐり、クミコの意識に手をのばそうとする。クミコを取り戻す戦いは、いつしか、時代や場所を超越して、と対峙してきたねじまき鳥たちの戦いとシンクロする。暴力とエロスの予感が世界をつつみ、探索の年代記が始まる。

ねじまき鳥はねじを巻き、世界のゆがみを正すことができるのか? トオルはクミコをとり戻すことができるのか―――

 

 

 冒頭ー謎の男(ミュージシャン)の登場で始まる。

原作では2巻にあるトオルとクミコが知らない間に道を分けてしまったシーン(クミコの妊娠と堕胎)で出てくる彼が、いきなり出てきてテンション上がる〜。

しかもそれを成河くんがやるっていうのがね。

 

「照明を暗くしてもらえませんか?

ご存知のように、人生の過程において私たちは様々な形の苦痛を体験します。

肉の痛みがあり、心の痛みがあります。私もこれまでたくさんの苦痛を経験してきましたし、

皆さんも同じだと思います。しかしその苦痛の実態を誰かに対して言葉で説明するのは、多くの場合とてもむずかしいことです。自分の痛みは自分にしかわからない、と人は言います。

しかし本当でしょうか?私はそうは思いません。例えば誰かが本当に苦しんでいる光景を目の前にすれば、私たちもまたその苦しみや痛みを自分自身のものとして感じることがあります。それが共感する力です。おわかりですか?」

男は自分の掌に火にかざして焼く。

「ごらんになったように、苦痛は文字通り人の肉を焼きます。

そしてみなさんは、そこにあるはずの痛みを、まるで我が事のように感じ取ることができます。それが共感する力です。」2153 

 

 

 

登場人物

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岡田トオル

法律事務所の助手(舞台では大まかに会社と言ってる)を辞めて現在無職。

現実→渡辺大知(1幕主)

潜在意識→成河(2幕主)

最初は猫、そして妻クミコも失踪。

2人を探すために彼は意識の世界に入り込み真実を探す旅に出る。 

その入り口となるヒントを、間宮中尉の話からヒントを得て、家の裏の空き家にある井戸に入り、その暗闇の中で意識の世界に入っていく。

そこは謎のホテルの中で、彼はその中で痛みに苦しむ女性を癒す仕事をしながら、事件の始まりの電話の女を探し、多くの謎を解きながら「真理」に近づき、運命と戦う。

 

 

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岡田クミコ

トオル妻。ある日突然失踪。

そして他の男との関係を告白し、兄綿谷ノボルを介して離婚を求める。

しかし、その裏には壮大な秘密が隠されており・・・。

 

 

 

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加納クレタ/マルタ

消えた猫を探すために綿谷ノボルを介して紹介された霊媒師マルタ。

しかし、クミコの失踪にはもっと深い真相が隠れていて、

その謎を解くために妹クレタトオルに会わせる。←道を示すもの

クレタは綿谷ノボルに凌辱されたた過去を持ち、そのことで奪われた自分を探している。

彼女はトオルと意識の中で交わることで、意識の世界を彼に教える。←導くもの

 

 

 

 

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綿谷ノボル 

クミコの兄。財力、権力、カリスマと、全ての力を持ち、政界へ進出しようとしている。

力を得るためには弱者を抑えつけ容赦なく搾取する残忍さを纏う。世の中の強者の象徴。

トオルは彼をとても嫌っていて、クミコもそうだったはずなのに、

突然兄に連絡して失踪したことにトオルは疑問を持つ。

消えたクミコの代わりにトオルに離婚を迫るが、その裏にはトオルが避けて通れない「真実」があり、トオルはクミコを取り戻すためにこの強大な存在と戦うことになる。

 

 

 

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笠原メイ

トオルの家の裏に住む女の子。16歳。

自分が何者で何をしたいのかを探している。

生と死について深く興味を持ち、

バイクに乗っている彼氏の目を後ろから隠して事故を起こし、不登校中。

猫を探して向かいの空き家の庭にやってきたトオルと出会い、枯れた井戸を教える。

トオルに妙に懐き、トオルと変わった関係を紡ぐ。

 

 

 

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赤坂ナツメグ

トオルが意識の世界でたどり着いた謎のホテルの支配人

痛みで苦しむ女たちを癒し続けていたが、

迷い込んできたトオルのほほのアザを見て彼の持つ力を見抜き後継者にする。

彼女には実は、同じようなアザを持つ生き別れた父がいて、

父は戦時中の満州の動物園に勤務する獣医だった。

彼は終戦間近のある日、彼は檻から逃げたら危険な動物を殺すことを軍から命じられる。戦争によって力でねじ伏せられ、踏みにじられる者たちの象徴。

 

 

 

 

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赤坂シナモン 

ナツメグの息子。とても仲が良く、母から祖父の動物園の話を聞くのが好きだったが、

6歳のある日、突然言葉を話すことをやめてしまった。

それは恐ろしいことと共に泣き叫ぶねじまき鳥を聞いたことによる。←意識の世界

言葉は発しないが、意識の世界を熟知してトオルの世話をしながら導いていく。

 

 

 

 

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牛河

綿谷ノボルの秘書。見栄えが悪く、裏の仕事を専門に行っている。

精神の世界で痛みに苦しむ女を癒すトオルをそこから離そうとするノボルの命により、

クミコとの復縁を提示して、トオルを惑わし揺さぶる。

おしゃべりで小賢しい小鬼のような男。

 

 

 

 

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 間宮中尉

トオルとクミコの恩人とも言える霊媒師の本田さんの戦友

トオルに形見分けを渡して欲しい」という本田さんの遺言により、

彼の形見を持ってトオルの前に現れる。

彼は、本田さんとともに戦時中恐ろしい体験をしたトラウマを抱え、

それゆえ、その後の人生を誰も愛さず愛されない人生を送っていると告白する。

完全に敗北した者の象徴。

 

 

 

 

出てこないけど大事な役

 

本田さん(伍長)

不思議な霊能者。予知能力を持つらしい。若いとき、間宮中尉とともにロシアに渡り、

そこで生死の狭間に立たされた間宮中尉を助ける。

トオルとクミコを気にかけ、死んでなお遺言で間宮中尉と会わせる。

 

ワタヤノボル(サワラ)猫

トオルとクミコの飼い猫。2人にとって平穏な幸せの象徴。

 

電話の女

全ての始まりとなった電話の相手。謎の女。

「私はあなたのことをよく知っていて、あなたは私をよく知っている。」

 

顔のない女

意識の世界のホテルのベッドに横たわる女。顔は見えないが、電話の相手。

トオルは彼女の正体が何者なのか知ることが、クミコを取り戻す鍵だと信じている。

 

ナツメグの父=アザのある獣医

終戦間近の満洲の動物園に勤務していた獣医師。

動物園の運営困難にあたり、逃げたら危険な動物を殺すことを命じられ、

その後戦禍の中で戦死したと思われる。

強者よりなす術もなく全てを奪われる象徴

 

 

キーアイテム

宮脇さんの空き家=首吊り坂の家

トオルの家の裏の路地にある空き家。メイのウチの向かいでもあり、

猫を探しに来たトオルに井戸を教える。

ここに住む人は皆不幸になるという曰く付きの家で今は誰も住んでいない。

裕福な人(全てを得る者側)が失う者側に堕ちる場所。

 

井戸

トオルが意識の世界に入るための入口となるところ

家の裏の路地にある首吊り屋敷の庭にある。枯れた井戸。

力を持つ者が力を失う場所

←枯れた水=力?

突然湧き出す水=取り戻した力?

 

バット

井戸から意識の世界に入るためのお守りのようなもの

戦う力の象徴?暴力を得た象徴?それとも勇者の剣的なものか?

満洲の動物園で中国人を殴り殺し、謎の男と争う時に男を殴り飛ばしたアイテム(原作のみ)

そして、意識の中でクミコを囲い、トオルをも組み伏せようとする「力」=ノボルと戦うアイテム

 

クリスチャンディオールの香水

クミコの決意

クミコが家を出るときにつけていた、トオルが今まで嗅いだことのない新しい香水