This is it

舞台大好き。映画も大好き。私の見たもの日記のようなものです。

「ジギル&ハイド」2015ソウル公演に魅せられて〜3

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2幕

 

#Murder, Murder!-事件、事件 / アンサンブル

司教の殺人事件でロンドンが騒々しい中、ハイドは実験を反対した取締役を次々と殺害する。

ジギルはハイドに自分が乗っ取られることに恐れを感じながらも、

彼を消滅させるために引き続き実験を続ける。

 

司祭の殺人事件に沸く市民、傘を使って歌い踊るアンサンブルの間を縫って、

次々と、審議委員たちの偽善者ぶりに怒りを吐き出すように殺していくチョジギルのハイド。

チョジギルはそのハイドを抑えようと薬を探し求めるが、
その抑え方がとてもリアルで、左手を離してしまったら、ハイドが飛び出してきそう。

 

ウンジギルのハイドは、騒ぎ立てる市民と、

恐れ慄き逃げ惑う審議員を嘲笑うように神出鬼没に現れ、

まるで遊ぶように彼らを殺していく。

あまりの神出鬼没さに、何度声を上げてしまったことか(笑)

彼、本当にこの冷徹で残酷な殺意って言うのがうますぎて、ゾッとします。

 

 

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エマは、実験にのめり込み自分に会ってくれないジギルを訪ねて、

彼の変貌に驚きながらも、何があっても彼を信じていると告げる。

ハイドとの戦いに疲れ果てたジギルは、いつ出てくるかわからないハイドの影に怯え、

エマのをの愛に縋りたい気持ちを抑え、「愛している。」と告げながらも、彼女を遠ざける。

 

#Once upon a Dream-あれは夢 / エマ

 

疲れ果てて実験室に帰ってくると、一番会いたくないエマがそこにいて、

全身で警戒するチョジギル。そんな彼を、優しく包み込むように抱きしめるエマの手に、

思わずすがりつくが、最後のプライドでそれを振り払う。

哀愁のエマが、「愛し合った日々は幻だったのか」と歌う後ろ姿を、

ただただ悲しげに見つめるチョジギルの表情がとてもいいんです。

本当はひとりで立っていられないくらい不安な姿で、

でも彼女が振り返ると、それをさっと隠す。男だねぇ。

 

ウンジギルは本当に身も心もボロボロなんだよね。

ぽろぽろと涙を流し、一瞬、全てをエマに預けようとする姿は、
まるで子どもが母親にしがみつくような感じで。
彼の弱さ、脆さにキュンとします。
でも、最後の理性でそれを振り払い、彼女に背を向け、
その後は一度も顔をみせない。
それがまた、幼さを感じるんだけど、とても切ないんです。


いつハイドが出てくるかわからない恐怖。

だって、相手は欲望に罪悪感を全く持たないハイド。

彼女を傷つけたくないと同時に、

理性の塊のジギルには、そんな姿になった自分を絶対見られたくないから。


そのくせ、エマに絞り出すような声で「愛してる。僕を捨てないで。」なんて哀願する。

彼にとって、彼女は守るべき最愛の人であると同時に、唯一の支えでなんだよね。

折れそうな心を必死にプライドで支える姿に、エマでなくても抱きしめたくなります。

 

#Obsession-狂気 / ジキル

 

エマを抱くこともできない自分に、ハイドへの憎しみを増すジギル。

彼にとってハイドは憎悪する「他人」なんだよね。

それだけ追い詰められても、前だけを向いて進もうとするジギルに、

愚かさと滑稽さを感じながらも、心を絞り出すような歌に胸を締め付けられます。


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#In His Eyes-その目に / ルーシー&エマ

 

「彼の瞳の中に居られることが私の幸せ」と、

エマとルーシーは、それぞれジギルへの愛を誓う。

でも、その間でジギルは何を思う?

 

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#Dangerous Game-罪な遊戯 / ルーシー&ハイド

 

ジギルへの恋心を抱き、浮かれ気分のルーシーの元にハイドが現れる。

自分を消そうと躍起になってるジギルとの攻防で、

「しばらく会えないかもしれない」と彼女に伝えるハイド。

 

チョジギルのハイドは、疲れ果て、ダメージを受けた様子で現れ、

「待っていろ。」と、彼女に告げる。

彼に取り繕う彼女の嘘を見抜き、でも、「それもまた可愛い。」と苦笑するハイドには、

彼女への愛が溢れていて、きゅんとします。

 

ルーシーを後ろから抱くように歌うハイド。

この日のルーシーは、ハイドを全身で拒んでいたけれど、

ハイドは、ルーシーを貪るように求めていました。

全身で表現する愛は、不器用で暴力的だけど、

自分が抱いてる愛情をどう扱えばいいのかわからない苛立ちと、

どうしても自分に振り向いてくれないルーシーの心への悲しさを帯びていて、

胸を締め付けられます。


一方、ウンジギルのハイドは、活き活きとし登場。

狼狽え取り繕うルーシーを、嘲笑うかのようにからかい、彼女を弄び、

冷たい笑みを浮かべる。

自分に翻弄され混乱するルーシーを見て、快楽を感じるハイドは、

瞳をギラギラ光らせ、彼女の匂いに欲望を昂らせながらも、

彼女の悶える様子をジギルの姿と重ねてせせら笑う。

その表情は、とってもSで、

どのシーンよりも欲望的で、獣のようだと思った。


ソフトもワイルドも使い分けられる男、ウンテさん(爆)コレって、新しい魅力だわね。

 

 

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ジギルから薬を頼まれたアターソンは、それを実験室に届けた時にハイドと出会う。

追い出そうとするアターソンの前で、ジギルをあざ笑うように自ら薬を打ちジギルに戻る。

ハイドの正体に驚くアターソンにジギルは、自分がルーシーを苦しめるとして、

アターソンに、手紙とお金をルーシーに渡し、自分から遠ざかるよう伝えてくれと頼む。


 

まるで、眠ったふりをしてアターソンを待っていたかのようなウンジギルのハイド。

毛布にくるまり、笑うのをこらえているような感じ。

アターソンが「彼に何をしたっ!」と攻められ、

待っていたかのように、「あいつが俺に何を下か教えてやる。」と、薬を打つ。


一方、ハイドの執拗な攻撃に心身ともに追い詰められたウンジギル。

嬉々としてアターソンに変身する姿を見せた彼のハイドとは対照的にヨレヨレだ。

彼女への淡い恋心をひた隠して、全てをハイドのせいにして、

彼から守るために彼女に一刻も早く手紙を渡してほしいと切願する。


チョジギルは対照的にハイドが息絶え絶えに椅子にうずくまっている。
やってきたアターソンに毒づく姿は、まるで手負いの獣のようで、
「ジギルに何をした!」と責める彼に、訴えるように変身する姿を彼に見せる。

そしてジギルは、ここは科学者に徹していると思った。
ルーシーへの手紙をアターソンに渡すくだりも、
単純にハイドが彼女を狙っているからで、彼女への愛情はない。

そして、どんな困難なことがあっても、必ず自分はやり遂げると熱く歌い上げる。 

 

#The Way Back 

 

「この身がどうなろうと、必ずやり遂げてみせる」と叫ぶように歌うジギルは、

実験を成し遂げるというより、ハイドに必ず打ち勝つ!という意気込みに感じられました。