This is it

舞台大好き。映画も大好き。私の見たもの日記のようなものです。

愛おしい2人~「The Story of My Life」

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あんにょんです。

もうあれから随分立ってしまいましたが、
前回の渡韓の際、こちらもみてきました。

「The Story of My Life」


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トーマス:カン・ピルソク
アルビン:ホン・ウジン

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思い立って韓国語の先生をお誘いしてみたのですが、
ふふふ、先生ったら、
「この6人のうち4人くらいでやるのかしら?」
って思っていたって。

いつまでの2人しか出ないから
ようやく2人芝居だって気がついたそうな(笑)

それくらい予習なしでも、
一生懸命予習しても私は先生の足元にも及ばない(涙)

この舞台はセリフが多くて・・・(涙)
わからないわけじゃないけれど、私にはやはりハードルが高いなぁ。

それでもピルソクさんとウジンさんの演技は本当に素晴らしくて。

この舞台は、現代と過去を行ったり来たりしながら進んでいくんですが、
その演じ分けがとてもすごいんです。

いつまでの少年のアルビンはともかく、
トーマスは、一方では悩める大人で、
そうかと思えば、少年になったり、青年になったり。

舞台が進むにつれ、成長とともに心も変わっていくトーマスは、
話の進行役でもあり、とても役割が忙しいんですよね。
メリハリがあって、どの時代のトーマスもキラキラしています。
ふふふ、悩む姿までキラキラしている。

特に、「蝶」を歌う時の彼は最高にキラキラで、
私もキュンキュンしてしまいました。
やっぱり、「蝶」は彼の歌が一番好き!

ピルソクさんじゃないんですが、
とりあえず貼り付けておきます。


そして、
このキラキラがきっとアルビンを虜にしたんだよね。

一方ではいつまでたっても少年の心を持ったままのアルビン。
変わっていくトーマスとは対称に、
変わらず取り残されていく様子を演じるウジンさんは、
とっても無邪気であどけなくてかわいい。

外見はしっかりアジョッシなんだけど・・・(笑)
(この日、ウジンさんはお風邪?
とても喉を痛めていて、
後半にいくほど声が出なくなって残念でした。)

チョウを追う姿は(もちろんパントマイムなんですけど)
もう、少年以外何者でもなくて、
常に背中に翼が生えている。(実際は生えていませんけど)

でも時折見せる、影がとても儚くて、
やっぱりそれは彼がこの世の人ではないからなんだろうか?
ちらりちらりと見え隠れするアルビンの心の奥の闇。
それを見つけようと追い求めるトーマスの手を、
まるで蝶が飛ぶように躱すんですよね。

それが優しくて寂しい。

多分私はトーマスの方に共感しているんだろうなぁ。

別々の世界に分かれ、その生活に追われ、
大好きなはずの彼を疎ましく思う気持ちもよくわかる。
その自分の弱さに苛立ち、その苛立ちも彼のせいにしてしまう。
傲慢は甘えなんだよね。

そのことでアルビンを傷つけたこともわかっているのに、
見ないふりをして。

トーマスにとってアルビンは、
いつでもそこで同じように自分を待っていてくれる
「家(故郷)」のようなものなんだと思いました。
なんでも許してくれる存在。

全てを許して自分を支えてくれていたアルビン。

死んでからだって、自分の葬式の弔辞に
何を話していいか悩むトーマスの前に現れて、
あれやこれやと囁く。

それについつい引き込まれていくトーマスは、
出会いから今までの時代を遡ることで、
自分がアルビンにどれだけ支えられ、
そしてなによりも彼の心に感化されていたのか気づく。

彼にとってアルビンは「蝶」だったんですよね。

だけど、アルビンだってトーマスは「蝶」なんです。
しがらみに縛られ動くことのできない自分。
自由な心を持つ彼にとって、耐え難い苦痛だったはず。
それでも笑っていられたのは、トーマスがいたから。

キラキラといつも輝いているトーマスが世界を飛び回る姿は、
きっと少年の時に夢中になって追った「蝶」そのものだったに
違いないと思います。

美しく飛ぶ様をいつまでも見ていたい。

お互いがお互いを想う気持ちが
とても切なくて、愛おしくて。

トーマスとアルビンが好き。
じわじわと愛おしさが募り、抱きしめたくなります。

そして。

「なぜ自殺したのか?」

トーマスが求めるアルビンの最期の心を、
彼は、優しく歌うのです。

「目の前にあることが全てなんだよ。答えなんかないんだ。」と。

「それが全て」は、深い。
呟くように、諦めるように、でも優しく、力強く語りかける。



きみの心に僕の物語と時間がある。
きみはきみが知っていることを書き続ければいい。
ぼくの物語と時間は全てきみのものだからー


アルビンへの罪悪感や喪失感に心を傷めるトーマスを、
アルビンは全てを包み込むように許し、
そして彼の背中を押す。

その歌に、アルビンの心の全てがこもっていて、
胸を打たれます。

その心を受け止めるかのように、
スランプだったトーマスが「雪の中の天使」を書き上げる。
その歌が、なんとも愛おしい。


全てを悟り全てを受け入れたトーマスとアルビンの思いが詰まっています。

私が一番大好きな歌です。

友との出会いと別れ。
きれいごとだけではなかったその時間を
ありったけの良心で描いたおとぎ話のようなキラキラした時間でした。

号泣したあと、ほんわかと心に残るぬくもりは、
アルビンとトーマスのくれた贈り物なんだね。

奇しくも、マチネでみた「フランケンシュタイン」も、
アンリとビクターの友情の話でした。
悲劇の中で、悲しい最期を遂げなければならなかったアンリとビクターの友情。
比べるわけじゃないけれど、そんな彼らを思い出して、
またさらに泣いてしまった(苦笑)

幕が閉じたあとのアンコール、
満面の笑みで手を振るピルソクさんとウジンさん。

幸せを本当にありがとう。

その笑顔が見えなくなるほど泣き腫らした私
その隣で先生もやっぱり泣き腫らしていました。

本当に本当に素敵な時間でした。



そんな舞台のダイジェスト。
素敵な笑顔がいっぱい詰まっています。